赤池先生からのメッセージ(動画)

YouTubeより。

赤池弘次(京都賞2006受賞者)からのメッセージwww.youtube.com

 あらゆる科学技術の分野,哲学を含め,モノの考え方に関連するところはどこにでも関係してくる。

  • 創造性を維持していくには

 創造性を維持するよりむしろ、当面の問題に集中し、常識的な解で満足しないこと。
 自分が当面している問題を徹底して理解し、把握し、納得するまでやること。そのような構えがあればどんな問題でも創造性は出てくる。
 簡単な問題などなく、実際は一見簡単で、皆が普通にこうしているから同じように処理すればうまくいく、と思ってしまうところで創造性がなくなる。
 そうではなくて、自分が納得するまで捉える。そのようなことを続ければ誰でも創造的な仕事に到達できる。それが科学。
 問題とのやりとりは一種の戦いのようなものであるが、これを累積させない限り創造性は出てこない。

  • 社会のために科学者ができること

 戦争が終わったとき、海軍兵の卒業間近であり、一期前の人は戦死した人もいた。明日は自分が出て行くのか、という日々。
 「人間が生きていくとはどういうことか、自分は毎日何をすればよいのだろうか」。戦死したおじが残した数学の本を読みながら、「数学でもやってみようか」と考えながら海の水を見ていた。
 終戦になった後は国家・社会の復興に努力しなければならない、と思いながら帰ってきた。ところが社会の価値観・倫理観が音を立てて急激に変わった。
 それを目の前で見ると茫然自失し、どこに自分の足場を置けばよいのかと非常に悩んだ。悩んでいるうちに、結局自他の生命の尊重、それが全ての道徳の基本であり、これさえ抑えておけばどこでどんな生き方をしてもよいと考えるようになった。
 科学者に限らず、どんな人がどんなところで働いているにせよ、そこさえ抑えておけば将来は明るいと思う。ややもすれば単純な専門分野の知識に惑わされて盲目的な行動に走ってしまう。この点だけははっきり認識しておく必要がある。

  • これからの研究者へのアドバイス

 好きなことに熱中し、とことん妥協せず、ちょっとの困難にも絶対にへこまずにやり抜くこと。頑張り抜くこと。これ以外にない。これさえあれば、どんな分野でもどんな仕事でも必ず成果が得られる。